ハムスターは可愛い見た目としぐさで私達に癒しを与えてくれます。しかし、共に暮らしている中で楽しい時間だけではないのも事実。

中でもハムスターがケージを噛む行為に悩まされている方が多くいるようです。ハムスターのケージは主に金網タイプのケージがほとんどです。そのため、夜中に活発になるハムスターの噛む音がうるさく、毎日眠れずに悩んでいる方が多くいるのではないでしょうか。

そこで、本記事ではハムスターの生態を理解し、噛む理由やそれぞれに合った解決方法をご紹介します。

ハムスターの生態と性格

野生下で生活するハムスターは、天敵が多く活動している昼間は巣穴に隠れて眠っています。天敵が少なくなる夜になると活発に活動します。そのため、ペットとして飼育されているハムスターにも野生の本能が残っているので、夜になると活発になります。

またハムスターは身体能力が高く、想像以上に体力があります。器用に壁をよじ登っては落下するという行為を何度も繰り返している姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

目の前のことに集中して全力で取り組むという性格の表れです。例えば、一回でも脱走できるとその方法を何度も繰り返します。その行動が騒音の原因となるケースが多くあります。

金網ケージに問題あり!?金網はハムスターにとって噛みやすい

金網のケージは、金網部分がハムスターにとって程よくフィットするので噛みやすいです。さらに、ハムスターは小さな体とは裏腹に噛む力がとても強く、引っ張るように金網を噛むのでガジガジという音とケージ全体が動く音が鳴ります。それが騒音の原因になっていることが考えられます。

ハムスターがケージを噛む理由と対策

ハムスターは犬や猫のように感情表現がたくさんあるわけではありません。そのため、様々な気持ちを抱えながら飼い主さんに伝えようとしています。

例えば、理由もなくケージを噛んでいるのではなく、叶えてもらいたい欲求があるから知らせていたり、単にストレス発散で噛んでいたりする場合もあります。まずはハムスターがどんな気持ちでその行動をとっているのかを考えてみましょう。

慣れない環境で不安を抱えてる

お迎えしたばかりの頃は慣れない環境で不安でいっぱいです。そのストレスを発散するために金網などを噛むことがあります。

対策

お迎えしたばかりは、不安と恐怖を抱えている状態なので1週間程度はお掃除以外触ったり無理に捕まえようとしたりするのはやめましょう。

掃除するときは消臭力の強いスプレーで臭いを完全に消さないように適度な掃除を心がけましょう。なぜならハムスターは自分の臭いがすると安心できる場所と判断するからです。

「外で遊びたい」「構って欲しい」「退屈だよ〜」のサイン

普段からケージの外でお散歩をしているハムスターにとって、その時間はとても楽しい時間です。

慣れてくるとケージから出られる時間を覚えるほど楽しみにしています。そのため、飼い主さんの気分によって遊べる時間が短い、または外に出られない日があると、猛烈に外に出してとアピールしてきます。また遊びたりないときなどはケージの中に入れようとしても入らないこともあるほどです。

対策

毎日きちんとケージの外で遊ぶ時間を作ってあげましょう。飼い主さんの都合はハムスターが知る由もありません。一度でもケージの外に出て遊んで楽しかった記憶は忘れないので最後まで付き合ってあげましょう。

外に出ているときは飼い主さんをアスレチックにしてよじ登ったり服のポケットの中を掘ってみたりと可愛い姿もたくさん見せくれます。中には暖かいポケットの中で仮眠をとるハムスターもいるようです。

「お腹空いた」「おやつがほしい」のサイン

フード皿にご飯が入っていないときやお腹が空いているときに音を出して知らせることがあります。またおやつの方が総合食より美味しいと気づくと、おやつ欲しさにアピールしてきます。

対策

主食(メインフード)は、普段から決まった時間に与えるか、適量を入れっぱなしにしても問題ありません。またハムスターは食べ物を巣に貯める習性があるので、フード皿が空っぽでも慌てる必要はありません。

おやつは、欲しがっているからと与えすぎには注意しましょう。余計に騒がしくなるだけでなく、肥満による病気の原因になることがあるからです。おやつを与えるタイミングは、ケージの外に出て遊んでいるときがベスト。スキンシップとして活用すると、簡単に距離を縮められるのでおすすめです。

構われすぎてストレスが溜まっている

過剰なスキンシップがハムスターにとってはストレスになることがあります。例えば、一日に何度も触ったり、寝ているところを触って驚かしたりする行為は、ハムスターに不安と恐怖を与えてしまいます。

ハムスターは犬や猫のようにベタベタするのはあまり得意ではありません。無理強いすると怖がらせてしまい警戒して巣箱から出てこなくなることもあります。

対策

まず野生のハムスターは、常に天敵に狙われる不安と恐怖を抱えながら生活しています。ペットのハムスターにその気持ちを抱かしてはいけません。一日に一回、夜にスキンシップをとる時間を作りましょう。夜はハムスターも活発になるのでおすすめです。ハムスターが安心して暮らせるようにしてあげることがとても大切です。

脱走したい

単に脱走したいだけの場合もあります。たまたま一度脱走できると、その方法を外に出られるまで何度も繰り返します。

対策

脱走できないように、ケージ内の置物の配置を見直すか、頭で持ち上げられないように蓋を頑丈にするかです。何をやっても脱走できないと気づくとそのうち諦めてくれるでしょう。

楽しくて噛んでいる

金網がおもちゃになっているので、噛んで遊んでいる状態です。特に飼い主さんへのアピールでなく、ただ遊んでいるだけなのです。

対策

かじって食べても大丈夫な専用のオブジェや木の棒を入れておくといいかもしれません。ハムスターの噛む行為は、気持ちの表現やストレスの解消以外に、歯の健康維持も担っているので、それ自体を完全にやめさせることはできません。そのため、噛んでもよいグッズを入れて、それを気に入れば金網を噛むことが減るかもしれません。

全部試してもどうにもならないときはケージを変えよう

金網を噛むという行為をやめてくれないなら、ケージを違うタイプに変えしまうのも一つの手です。またケージを購入するのかと頭を悩ます方もいるでしょう。しかし、毎日眠れずにストレスを抱えながら生活するのは飼い主さんによくありません。ハムスターと飼い主さんが共に心地よく暮らせる空間が大事にすべきことです。

水槽タイプのケージに変える

水槽は、金網の部分がなく密閉空間になるので音も臭いも漏れにくい構造になっています。ただし、密閉空間というのは裏を返せば通気性があまりよくないというデメリットがあります。例えば、夏は湿度が高く気温も高いので、対策をきちんと行う必要があります。また、ハムスターは脱走することが得意なので、高さがある水槽で穴の空いた蓋をして重石を乗せておくと、より万全です。

水槽にはガラス製とアクリル製がある

ガラス製は重く傷がつきにくく、密閉性が高く音も漏れにくいので臭いや音の対策にもなります。しかし、水槽自体がとても重く簡単にひっくり返せないので、掃除がしにくいという点がデメリットになります。またアクリル製に比べると高価なものがほとんどです。

アクリル製の水槽は、比較的安価な物が多く、水槽自体が軽いです。簡単に持ち運べて丸洗いができるのでより清潔に保てます。しかし、ガラス製に比べると、防音と臭い対策は劣ります。また表面に傷がつきやすく、その傷に汚れが入ると臭いの原因になることもあります。

最近では、可愛い見た目やおしゃれなデザインのあるケージや掃除がしやすく工夫されている水槽タイプのケージもあるようです。

最後に

ケージを噛む理由を知ればそれぞれに合った対策をすることができます。単にケージを噛んでるからうるさいと思うのではなく、何かを訴えているかもしれないと寄り添ってあげることが大切です。どんなに対策しても改善しない場合も当然あります。ハムスターも人と同様に色々な性格の子がいるからです。うまくいかなければ無理強いせず、柔軟に考えることが飼い主さんとお家のハムスターにとって必要なのではないでしょうか。お互いが心地よく暮らせる空間になるよう工夫しましょう。