愛らしい姿やしぐさでわたし達に癒やしを与えてくれるフェレット。
動画やテレビなどで飼い主さんに寄り添って眠る姿や呼ぶと走って駆け寄ってくる姿など、愛らしいフェレットの姿をたびたび見かけます。
一方で愛らしい印象とは反対に「噛んだらなかなか離してくれない」「指を貫通するほどの強い力で噛んでくる」など、フェレットの噛み癖に困っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
個体によって噛む力や頻度は様々です。なにか理由があって噛む子、噛み癖がひどく直すのに大変な子など、お家のフェレットに合うしつけ方法や対策を考えましょう。
フェレットが噛む理由を知る
フェレットが噛むときは、なにか理由がある場合があります。フェレットがなぜ噛むのかを知ることで、それぞれに合った対策やしつけ方法を考えられるでしょう。
歯の生えかわり
生後2ヶ月~3ヶ月で乳歯(子どもの歯)から永久歯(大人の歯)に生えかわります。この時期は歯茎がムズ痒かったり、違和感があるのでよく噛むことがあります。ただし、永久歯に生えかわれば次第に収まってきます。
生えかわりの時期は、手を噛ませるのではなく、おもちゃを噛ませて遊びながら発散させてあげましょう。
甘噛み
主に、子どものフェレットがじゃれたり、甘えたりする噛み方です。大人になっても、フェレット同士で遊んでいるときや飼い主さんに構って欲しいときなどは甘噛みをすることがあります。
甘噛みは歯を当てるだけで、噛む力も弱いので痛くないことがほとんです。ただし、フェレットの体格によって噛む力には差があり、サイズが大きいほど力が強いことがあります。
不安や恐怖心
人との信頼関係がないとき、急に体を触られたり、大きな物音に驚いたりしてとっさに強く噛むことがあります。信頼関係は日々のコミュニケーションがポイントです。フェレットに「怖くない人」とわかってもらうことから始めましょう。おもちゃで遊んであげたり、好みのおやつを与えるなどをして、仲良くなることが大切です。
また、お迎えしてすぐに触ったり無理やり抱っこしたりして噛まれることもよくあります。フェレットは環境の変化で不安定な状態なので1週間程度は、最低限のお世話(フードや水の補充、トイレのお掃除)のみにしましょう。フェレットに新しいお家は安全な場所とわかってもらうことが大切です。
お腹が空いている
お腹が空いていると、おねだりして噛むことがあります。フェレットは1日に少量のフードを数回に分けて食べるので、いつもフードが食器に残っています。食器が空っぽになる前にフードを補充しましょう。
いつも噛まない子が突然噛むようになった場合は、体調不良や怪我が原因なこともあります。体に痛みがあるので触られのが嫌なのかもしれません。
噛み癖を直す方法
噛み癖を直すには、何度も「それはいけない事」だとフェレットにわからせることが重要です。
首をつまんで「ダメ」と言う
フェレットは首の後ろをつまんで持ち上げると、たいてい噛んでいるものを離します。フェレットがいけない事をしたら「すぐ叱る」「一貫して同じ言葉」「大きな声で言う」を繰り返し行うことがポイントです。
日によって叱る言葉やトーンが違うと、フェレットが混乱して覚えづらくなります。また、叱るタイミングが遅いと何がダメなのか理解できないのであまり効果がありません。
叱るとき、フェレットの名前を呼んでから叱る飼い主さんも多くいるようですが、フェレットに「自分の名前=嫌なこと」と印象付けてしまうのでやめましょう。
叱る手順
- フェレットの首の後ろをつまんで持ち上げる
- フェレットの目を見て「ダメ!」と叱る
- フェレットが大きく口を開けたら降参の合図なので離す
上記の3つを繰り返し行っても、叱ったあとすぐに噛むようなら、①と②のあと、ケージまたはキャリーケースに入れて反省させましょう。ケージの外で遊んでいるときに効果的です。
フェレットにとって、ケージの外で遊ぶことはとても楽しい事です。それが出来なくなるのは嫌なので、「噛む=遊べなくなる」と印象付けましょう。
しつけ用グッズを利用する
フェレットをケージから出したとき、お気に入りの家具をよく噛まれる、日中は噛まないのに夜になるとケージの金網などを噛むので眠れないなど、手や足を噛む以外の悩みも尽きないものです。
ケージの金網を噛む場合
ケージの金網を噛む場合は、「甘えたい」「もっと遊びたい」「暇だよ~」など飼い主さんの注意を引くために噛んでいる場合があります。
フェレットと遊ぶ時間を1時間~2時間ほど長くしたり、体を使えるようなおもちゃで遊んであげたりすると、体力を消耗するので静かにしてくれるかもしれません。これらの対策をしても噛む場合は、しつけ用グッズを利用しましょう。
家具や物を噛む場合
お気に入りの家具や物を噛まれないようにする場合は、市販のしつけグッズを利用してみましょう。フェレットは苦い食べ物より甘い食べ物が好きなので、苦い味がする専用の液体を付けておくと、嫌な味に懲りて噛まなくなることがあります。
鼻の先をピンッとはじく「鼻ピン」は、効果のあるフェレットもいるようですが、逆に噛み癖がひどくなったり、フェレットが怪我をしたりするので、現在では推奨されていない方法になります。
指を噛まれたらどうすればいい?
フェレットに噛まれたとき、慌てて指を引くと、反射的に強く噛むので大怪我になることがあります。また、強く噛んでいるわけではなく、歯を当ててホールドしているときもあるので、まずは冷静になって見分けましょう。
フェレットは飼い主さんの反応を見ているので、ビクビクして怖がっている様子を見せると、噛み癖をさらに強くする恐れがあります。指を噛まれるとすぐに離したくなりますが、いったん深呼吸をして、毅然とした態度でいることが大切です。
指を離す3つの方法
- 噛まれている指を逆に押しつけるまたは口の中に押し込む。喉の奥に押し込むと嗚咽をするので、その隙に指を引き抜きます。
- 噛まれていない反対の手で無理やり口を開けます。このとき、反対の手が噛まれないように、上顎を持って口角に指をかけて口を開けます。
- 鼻の穴を軽く塞ぐと呼吸ができなくなるので苦しくて口を開けます。暴れる場合は「手で無理やり口を開ける」とセットで行いましょう。
出血したときの対処法
- 小さな傷でも、石けんを使って水でよく洗います。傷の周りも唾液がついているところはよく洗い流しましょう。
- 清潔なガーゼを当てて包帯をします。または絆創膏を貼って傷を保護しましょう。
- 動物などに咬まれてできた傷は、化膿しやすく、動物が病気に感染している事もあるので、医師の診察を受けるようにしましょう。
お手入れのときに噛まれる場合はどうすればいい?
自宅でフェレットの爪を切るときや歯磨きなど、保定をする必要がある場面が多くあります。
しかし、なかなか噛み癖が直らず「いつも手が傷だらけになる」「特定のお手入れだけ嫌がって噛まれる」など、噛み癖による悩みはたくさんあるでしょう。
「痛いから」「怖いから」という理由でお家のフェレットのお世話をしないわけにもいきません。そんな大変な子のお世話をするときは、ペットグローブを利用すると安全にケアできます。
ただし、グローブを利用しても難しい場合は、動物病院やフェレット専門店にお願いしましょう。
- 保定とは、フェレットの首の後ろをつまんで持ち上げることです。
日頃のコミュニケーションでたっぷりの愛情を
日頃のコミュニケーションが十分に足りていないと噛み癖などの原因になることがあります。
飼い主さんに構ってもらえない寂しさから、わざとケージや家具を噛んだりする事があります。自分のことをもっと見て欲しいという気持ちの表れが間違った方向に向いてしまう場合もあるのです。
日頃から、おもちゃで遊んであげたり、スキンシップをとるなど、フェレットにたっぷりの愛情を注いであげましょう。心が愛情で満たされていれば、情緒が安定し、何事も素直に受け入れてくれるでしょう。
また、フェレットにとって飼い主さんが大好きな存在になれば、自然と「嫌われたくない」と思うので、叱られる事や飼い主さんを傷つけて悲しませるような事はしないはずです。
しつけは根気よく続けることが大切
長期にわたり人に改良されてきたフェレットは、噛むとしても甘噛みが多いものです。しかし、個体によっては噛み癖がひどく、なかなか直らない場合もあります。しつけは個体差があることを理解した上で、根気よく続けることが大切です。
しつけは子どもの頃から始めよう
フェレットが子どもの頃から「人も噛まれたら痛い」と教えてあげる事はとても大切です。この頃からしつけを行ったほうが、噛む力も弱く、短期間で覚えやすいです。
一方で、大人のフェレットの噛み癖をしつけする場合は、子どもに比べて時間がかかるケースがよくあります。自我が強くなっているので、なかなか素直に受け入れにくい傾向にあります。噛む力が強く、飼い主さんの心が折れてしまうこともあるようです。そのため、忍耐力、根気、時間が必要になります。
1歳を過ぎれば落ち着いてくる
ほとんどのフェレットがよく噛むのは子どもの頃だけのようです。個体差があるものの、1歳を過ぎてくれば少しずつ落ち着くことが多いと言われています。フェレットも大人になればやんちゃな性格も少しは緩和されるのでしょう。
最後に
困ってしまうフェレットの噛み癖ですが、噛む理由を理解して、しつけや対策をすることが大切です。いけないことを根気強く教えてあげることで、少しずつフェレットも理解していくので、諦めずに続けましょう。